劇場版SHIROBAKO 感想

劇場版SHIROBAKOを観てきました。
一言で感想を言うと、「観たいものは観れた!」


劇場版「SHIROBAKO」本予告【2020年2月29日(土)公開】

物語の舞台はTVアニメの時系列から4年後。その間に武蔵野アニメーションは元請受注した「タイムヒポポタマス」は制作中止となり、多くの仲間が会社去り元請け制作できる力が無いほどに衰退している。宮森は静かになった社内を歩き、過去の盛り上がりを思い出すところからスタートする。会社は衰退するが、かつてのメンバーは皆新しい場所で成長している姿も描かれている。そして持ち込まれる企画書を宮森は受けることを決意し、劇場版「空中揚陸艦SIVA」の制作を請け負う。


かつてのメンバーたちに声をかけ、アニメを制作していく。そして出来上がった作品に「カタルシスが足りないと作り直しを決意し、作品の上映日に「俺たた」エンドで終わる。 

 

この世界観とストーリーは非常に良いと思う。会社も主人公達も飛躍的に何か大きく何を手にしているわけでは無いけれど、目の前の企画に立ち向かい続けていく。最後まで武蔵野アニメーションの蔦が取り払われることは無く、きっと劇場版もそんなに流行る事も無いんだろう。だって劇中作のエンド自体が敗北エンドなのだから。「えくそだす」や「第三飛行少女隊」はハッピーエンドなのに対してSIVAは敗北を受け入れ、それでも前に進むエンドとなっている。


私はこの展開はすごく好きだ。だって実際世の中の多くの人が感じているだろう閉塞感
や結末はこういうものであるのからお仕事アニメとしてはむしろ文句の無い展開。じゃ何が駄目だったのかというと2つあると思っている。

 

1つ目は、話を広げすぎたこと。キャラクター達の全員その後を描きたいのはわかる。でも26話尺であれだけ沢山のキャラクターを2時間の映画の中で全キャラ出して、また話を追想させる様なシーンを入れていったらどんな神シナリオライターが書いたって破綻するって…みゃーもりの「私はなんでアニメを作り続けたい」の次の目標や作品としてのSIVAとのリンクだけに絞るとかした方がストーリーとしては良かった気がする。ラスト、作った作品をカタルシスが足りないと言って直すわけだが、この映画自体がそれに当てはまっていて何とも皮肉…というかあのラストシーン、劇中作の絵より制作シーンを見せる方が良かった気がする。

 どちらにせよ物語として、武蔵野アニメーションなのか、5人なのか、宮森なのか。絞った方が良かったんでない?ということです。

 

2つ目はチームワークが見えなくなってしまったこと。SHIROBAKOのアニメ版って最初バラバラだった仲間がひとつになって「テイクオフ!おー!」で最終回を迎えるのが、矢野さんの「アニメ制作はチームワークなんだ」と共に、非常に王道だけど全体の本筋としてあったと思う。本作でもそれをやるべきだし、やろうとはしていたのだけど、やはり多くの人間が社外にいて、気がついたら作品は完成していたという印象が拭えない。


ただここまで言っておいてアレだけど、観たいものは観れたので満足といえば満足なのだ。ただこれが劇場でやる作品としてどうかという時に色々と思うところがあるよねという事である。これが二期としての尺であったり、OVAとしてファンディスクなら文句ないと思う。是非まだ観に行っていない人は観てきて欲しいと思う作品なのは間違いありません。