映画「何者」を観て思ったこと

 「君の名は。」の興行収入200億円到達がほぼ確実視され、シンゴジラが大ヒットを記録するなど映画が豊作な今年。幾度となく映画館に足を運ぶ中で、予告に流れる「何者」という映画が目に止まりました。

 

「青春が終わる。」「人生が始まる。」

 

というキャッチーな予告編。 今年就職活動をして、来年から社会人になるはずの私にとって十二分に興味をそそられる予告編でした。後にして思えば「何者」になれば良いのかという答案が欲しかったのかもしれません。


『何者』予告編

 

そうした期待を持って映画館で観た感想としては…求めていたモノでは無かった。

 

 予告編の言い回しは、期待していたテーマを取り上げた台詞では無く「就職活動」や「青春の終わり・人生の始まり」という転換点を描いている作品で無かった。どちらかと言えばSNSを多用する現代の若者の「人間関係」と「何者」にもなり切れない主人公の心情がメインのストーリーでした。

 

 勿論「何者」という主題を掲げる作品なのだから、予告編から私が感じたテーマとは違ったけど不満はありません。ただ「何者」になる為に何が足りていないのか…という部分を作中で描ききれていない様に感じました。またSNSにまつわる人間関係にしても、実名制のFacebookと匿名制のTwitterを使い分けるのが当然となった世代にとってはそんな事は周知の事実であって今更感が拭えませんでした。

 

 インターネット上に上がっている感想を見ると、こうしたSNSの人間関係についてホラーなどと表現している方もいます。私は微塵もホラーとは感じられなかった事を考えると、この作品を楽しめるのは主人公と同世代では無く、SNSの無い時代に就職活動を終え「何者」というポジションを自分なりに持つ様になった世代の方々なのかもしれません。

 

 

何者 (新潮文庫)

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