「君の名は。」感想&聖地巡礼

 海外から帰国してから時差ボケに悩まされてる戸松です。海外からTwitterを見ていても常にトレンドに上がっていて気になっていた映画を観に行ってきました。そう、「シン・ゴジラ」・・・じゃなくて君の名は。です。

 

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 自身が台詞を空で言える程に好きな秒速5センチメートル言の葉の庭で知られる新海誠監督の最新作であり、今までに無い大規模な宣伝が打たれた事も相まってどんな作品になるかとても楽しみにしていました。

 ただその一方で、「君の名は。」に懸念も抱いていました。それは恋愛を主軸とした初期三部作(ほしのこえ雲のむこう、約束の場所秒速5センチメートル)の路線から逸脱していってしまい新海作品の持ち味が色々な意味で消えてしまうのではという点です。前前作である「星を追う子ども」において、「距離」や「別れ」といったテーマこそ初期作と同じ路線であったもののイマイチ求めているモノでは無かったというファンは私を含め少なくなかった筈です。その後の「言の葉の庭」において軌道修正が図られファンとしては胸を撫で下ろしたものの、新海誠監督に「脱過去作」の意向があるのだろうという事は明らかでした。その後登場したZ会のCM「クロスロード」は、今までの新海作品らしくないコミカルな表情のキャラデザと雰囲気で登場し感心した一方で、懸念が一層強まったのも事実でした。

 

 その上で観てきた感想をいうと

新海誠監督にこういうコンテンツが作れるとは思っていなかった。」

という一言に尽きると思います。

 

君の名は。」を簡単に表すと

 

女性や若年層にも評価されるコンテンツ+散りばめられた新海誠作品のとしての魅力

 

となります。

 

女性や若年層にも評価されるコンテンツ

 私を含め多くの男性の方が語る新海誠作品の魅力は、時間や距離による「別れ」に主眼をおき、自身の過去の恋を含めた青春への追想からくる独特なカタルシスを綺麗すぎる作画でコーティングして何とも言えない気分に浸らせてくれるコンテンツという点にあると思います。ですが女性の方に感想を尋ねても、こうした感想は一切出てこない。絵は綺麗だったから評価は良いのですが、作品が本来伝えるべき魅力が男性には通じないというのはコンテンツとして無視できるモノではありません。そうした点を女の子を主人公に据えた「星を追う子ども」や男女両方の視点を描く事に力を入れていた「言の葉の庭」を見る限り、新海誠監督自身も気にしていたに違いありません。また男性についても過去の恋への追想というコンテンツが誰にでも当てはまるものではなく、特に恋愛経験が浅く追想すべき青春を正に現在進行形で送っている若年層にも万人受けするコンテンツとは言い難かったと言えるでしょう。

 この点について「君の名は。」は、完全な解決を実現したと言っていいと思います。ストーリーはネタバレ防止の為に詳しい事は言いませんが、主人公とヒロイン双方が交互に登場する形でコミカルにテンポよく前半部分を展開、後半に入ってからはシリアスなシーンを織り交ぜながらも、過去の新海誠作品の様な男が一方的に女を追いかけるのでは無く二人がお互いに近づいていく機微を丁寧に描いていました。そしてラストも秒速の様な理解されづらい結末は避け、前向きなエンディングとして〆ていました。またストーリーを展開する登場人物もほぼ主人公とヒロインだけで展開された過去作品に比べて多くのキャラクターが登場し、あの花等で知られる田中将賀さんのキャラクターデザインと相まって女性や若年層に受け入れられやすいものとなっていたと思います。また音楽も若年層受けの良いRADWIMPSを採用されています。

 

散りばめられた新海誠作品のとしての魅力

 これだけ若年層向けに振ったコンテンツとなれば、私の愛した新海誠作品の魅力は何処かに消えてしまうのでは。と…おっぱい揉んだ辺りで不安に感じていました。ですがそれも杞憂でした。勿論新海誠作品の最大の魅力とされる空や都市・町並みの作画、現実より確実に綺麗で吸い込まれる様な世界感は健在です。加えて主人公が憧れる女性とのやりとり等や主人公とヒロインの青春模様、過去の新海誠作品の魅力といわれていた部分がきちんと継承されているという事をひしひしと感じさせてくれました。また作中に登場する古典の先生が前作「言の葉の庭」に登場した…だったりとかして過去作から引っ張ってきただろうというネタやカットが所々に見え隠れしています。

 

あえて一言言うなら…

 

個人的に敢えて作品にケチをつけるならば、新海作品なのに映画館にカップル多すぎ!

じゃなくて、糸守町が実在しない事でしょうか。秒速5センチメートル言の葉の庭は舞台を聖地巡礼できた事がますます作品を身近に魅力的な感じさせてくれた事もあった為、その点だけ少し惜しく感じてしまいます。(※あんな綺麗な町は現実には無いだろうし、あっても設定上中々舞台にするのは難しそうなので仕方ないですけどね。)

 

 

 

 

聖地巡礼* 

 

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言わずと知れたポスター等のシーン。四ツ谷駅からほど近い須賀神社の参道階段です。方角的に六本木ヒルズは見えませんし、写真の様に木があるので全く同じ景色は取れませんが、ラストシーンを飾る場所だけにここは外せませんね。

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瀧くん御用達の歩道橋。信濃町駅からほど近い明治神宮外苑沿いの歩道橋です。ここからは六本木ヒルズもちゃんと見えます。

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新海作品と言えば新宿の景色というのが定着しつつありますが、先ほどの歩道橋を信濃町駅側に下った側から慶應義塾大学附属病院の方を望んだ景色です。

 

四ツ谷から新宿まで聖地巡礼しましたが、先駆者である他サイト等の情報を元に聖地巡礼させてもらいましたので、写真を掲載するのはこの3つ程にしておこうと思います。是非、先駆者様のサイトを見ながら聖地巡礼してみてください。